SPECIAL
STAFF INTERVIEW
佐久間悠也
クリエイティブ事業部 撮影ルーム 室長
オリジナル作品が終わったときの達成感は大きい
観る側から制作する側へ
北海道の釧路市出身で、幼少期からアニメの影響を受けて育ちました。中学生から高校生のあたりで漠然と、自分も制作する側として人に影響を与えたいと思うようになり、札幌の専門学校に入りました。そこでAdobe After Effectsを使って映像を作る魅力に強く惹かれて、業界に飛び込むことを決意したんです。
上京後は撮影スタジオや制作会社で経験を積み、2009年『宇宙ショーへようこそ』でA-1 Picturesに入社しました。2012年に『聖☆おにいさん』ではじめて撮影監督になり、その後『アイドルマスター シンデレラガールズ』や『ダーリン・イン・ザ・フランキス』などの作品を担当しました。2018年からはCloverWorks所属となり、撮影ルームの室長を務めています。2019年も担当作品の公開が控えていて鋭意制作中なので、楽しみにしていただきたいです。
撮影は料理に似ている
撮影とは、実際にカメラで撮影することではありません。作画・仕上げ・美術・3Dなど各セクションからあがってきた素材を、映像加工ソフト上で一枚の絵になるよう合成し、特殊効果やフィルターなどの撮影技術を駆使して、最終的な映像=放送されるアニメーションに仕上げる仕事です。
キャラクターの感情やシーンの印象などを表現したりと、撮影技術によって最終的なアニメのクオリティも大きく左右されるので、重要な役割を担う部署です。
撮影はたとえると料理に似ているなと思います。映像素材という最高の食材を目の前にして「さぁこれからどう料理しようか」と考えるのが楽しいです。
オリジナル作品が終わったときの達成感は大きい
撮影は画作りの最終的工程なので、絵が組み上がっていく楽しみがあります。いろいろと考えながら処理を作ったり、シーンに対して特殊効果を盛ったり。最近では自らCG素材を用意したり、実写素材を取り入れたりして、撮影でできることの幅が広がっています。
それゆえに監督や演出から要求されることも多いですが、それがうまくはまった時はやはりうれしいですね。特にオリジナル作品は、スタッフでいろんな意見を出したり調整したりと、いつも以上に一体感があるので、終わったときの達成感は大きいです。なので、作品全てを納品したあとは、なにか寂しい気持ちになることもあるぐらいです。
撮影はさまざまなリテイクの対応に追われます。素材の差し替えや細かい調整など、監督や演出と一緒にモニターを見ながら調整することもあります。そういうピリピリした現場がのちに一番心に残っていたりしますし、実はそれを楽しんでいる面もあったりします。
どんな状況でも、楽しく、コミュニケーションをしっかりとる
撮影は完成した映像を一番はじめに見ることができるセクションです。それはつまるところ、制作工程の最後ということなので、納品までの残った時間内で状況に応じて作業することになります。だから時には妥協しないといけないし、あきらめなくてはいけないこともあります。やりがいを感じることはすごく多いですが、スケジュールに柔軟に対応することが、撮影の仕事として一番大変で苦しいところかもしれません。
自分は現在、撮影ルームの室長で、かつ撮影監督としても仕事しているので、下積み時代に感じたことや経験したことを踏まえて、スタッフのみんなにも伝えるようにしています。どんな状況でも楽しく、コミュニケーションをしっかりとることを心掛けています。
アニメはたくさんのスタッフが一丸となって作るので、信頼関係が大事だと思います。ひとりひとりのスキルや適性、モチベーションや人間関係などにも気をつけて接したり、適材適所にスタッフを配置して、作品全体の作業効率やクオリティコントロールをすることも大切だと思っています。
大勢でひとつのことを成し遂げる喜びを経験してほしい
アニメが好きで業界に飛び込むのはもちろん良いのですが、観る側と制作する側では違いがあることも意識してもらいたいです。
アニメ制作はたくさんの人が関わって作るので、仕事をする仲間との信頼関係やコミュニケーションが大切になってきます。もちろん就職する前に、撮影技術の基本スキルを身につけることも必要ですが、リアルな体験の積み重ねや、大勢でひとつのことを成し遂げる喜びも経験しておいてもらえると良いと思います。
ほかにも、アニメや実写映画などをたくさん観ておくことは自分の引き出しが増えるので、のちの仕事に活きると思います。
あと撮影技術について、主に使用するソフトウェアはAfterEffectsですが、ほかにもPhotoshop、Illustratorなども駆使します。使いこなせなくてもよいので、最低限の知識を持っておいてもらいたいです。ただ覚えておいてほしいのは、そういった技術の勉強も必要ですが、仕事ですのでもちろん自分だけの思うようにはいかないことも多いです。映像技術に長けていて特殊効果やエフェクトをバリバリ作れます! だけでは難しい局面も出てきます。仕事をする上では、柔軟に物事に対応する力が重要になると思っています。
© 中村光・講談社/SYM 製作委員会
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