SPECIAL

STAFF INTERVIEW

中島和子

クリエイティブグループ 仕上げルーム 室長

環境が整って層が厚くなった仕上げルーム

CloverWorks設立から5年経った現在の仕上げルーム

CloverWorks設立から5年経った現在の仕上げルーム

どれだけ時間が経ってもやはり『アイドルマスター』シリーズの存在は、いろいろな意味で大きかったと感じています。以前の記事でも「全てが大変でした(笑)」と書いてあるとおり、私の根底に存在し続けている作品です。今でもあれ以上のことは起こらないという経験をしたと思いますし、乗り越えたことで今後何があっても大丈夫という自信に繋がっています。当時は私も未熟でしたし、仕上げスタッフが少なかったこともあり、キャパシティを超えたお仕事をしていたのかもしれません。
でも、もし再び同じような状況で作品を作ることになったとしても、今のCloverWorks仕上げルームであれば余裕で乗り越えられると思います。それは仕上げルームの形や環境が整ってきていることが大きく、社員数が増えていることも理由です。現在の仕上げルームには15名ほど在籍していて、ほぼ全員が新卒採用で入社しています。「色彩設計」「色指定検査」「仕上げ(塗り)」と、かなり層が厚くなってきたと感じます。若手がどんどん上を目指してチャレンジできるような環境を作りたいです。

過去記事:携わった作品には最後まで付き合う

仕上げルームスタッフの変化

仕上げルームスタッフの変化

仕上げという業務は、チーム作業ではないので、基本的に個人が自分のスキルを磨いて成長していく形になります。ただ、特にここ数年は自主的に助け合っている姿を見るようになってきました。以前は私から「手伝ってあげて」と促していたこともありましたが、いまは気づいた人が自主的にサポートに入ったり、声をかけあってくれています。コロナ禍を経験して、グループチャットなどネットワーク上での情報共有がスムーズになったので、各々の状況が可視化され、お互いの状況に気づきやすくなったこともあるでしょうし、サポートする役割を担える人に育ってくれたこともあるように思います。全体的に結束力が増しているように感じています。

仕上げに向いている人や必要なスキルなど

仕上げは、作画と撮影の間のセクションです。前セクションの仕事から情報を汲み取って、次セクションに正しく繋がなければなりません。細部に気づくか気づかないか、気を遣えるかどうかで大きく差が出るお仕事なので、真面目で細かいことに気が配れる人が向いていますし、実際そういう人が多いように感じます。また、どうしても前後の板挟みにあうことも多いので、時間が無い場合はそのなかでも効率よく柔軟に対応できる人が向いています。精神的な意味でもあまり我を前面に出しすぎず、ニュートラルに応対できる人が向いているかなと思います。また、仕上げは絵が描けなくても大丈夫なお仕事ですが、絵を見る力はすごく必要とされます。作画さんが描いた絵を見て何を描こうとしているかを理解する力は訓練で身につく部分もありますが、根本的には絵心も必要だと思います。

採用でみるポイントや入社後に意識してほしいこと

採用でみるポイントや入社後に意識してほしいこと

新卒採用では、技術職ながらポートフォリオの提出は任意としていて、選考では応募書類を重視しています。例えば、写真の貼り忘れがないかなど基本的なことや、提示された記入例や指示を守れているかも見ていますので、注意深さや意気込みも大切です。
入社後は「仕上げ」の業務に就きますが、とにかくできるだけ多くのカットに触れて吸収してほしいと伝えています。全く同じカットは絶対に存在しないので、ただ漫然と色指定表どおりに色を塗るだけではなく、さまざまな情報を学び取るように心がけてほしいです。私自身も仕上げをしていた当時、分からないものが出てきたら人に聞いたり、必要な知識を入れるようにしていました。例えば着物が出てきたときには、着物の構造への理解不足に気づいたので勉強しましたね。学んだことは今後もずっと使っていける知識です。学ぶことに貪欲になれる人は成長すると思います。

仕上げルームのキャリアアップについて

仕上げルームのキャリアアップについて

仕上げから色指定検査には、早ければ1年程度でなることも可能なのでぜひ目指してほしいです。色指定検査から色彩設計へは、試験や何年間の経験といった要件があるわけではなく、色指定検査の仕事ぶりで判断しています。技術的には検査の精度やスピードはもちろん、色彩設計が出した色指定表の意図を汲み取り、各話の色を合わせる技術が備わっているかを見ています。技術力があがると徐々に任せる範囲が増えていきます。
技術面以外では、制作進行を始めとした他セクションとのやりとりやラッシュチェックでの受け答え、限られた時間や状況のなかでの動き方も見ています。色彩設計のお仕事は色づくりだけではないからです。経験を積んでチャンスをつかんでいただきたいですね。

過去記事:仕上げルーム×撮影ルーム対談 新卒採用で入社した私たちのキャリアと夢

色彩設計という仕事で大切にしていること

色彩設計という仕事で大切にしていること

色彩設計は支える側のお仕事です。さまざまな意見を聞いて自分の中に落とし込み咀嚼して、そこから答えを表現する技術が大事です。自分の意見だけを通そうとしないことも大切で、自分が「こっちのほうが良い」と考えても、原作者や監督たちが「違う」と言ったら調整する必要があります。自分の考えや価値観を貫きたい人には難しい仕事かもしれません。ただ、擦り合わせていくことで自分一人では生まれなかったものができるので、私はその結果自分の成長にも繋がるものだと捉えています。蓄えた知識や技術をフル稼働して、まずは自分だけで作り込んだ内容を、色チェックなどの機会で監督たちに見てもらって話し合いながら共に作り上げていく作業が私は好きです。それを経てキャラが生きて画面にでるのが喜びであり魅力です。

仕上げを目指す学生に向けてメッセージ

CloverWorksのようなアニメ制作会社では、ひとりでアニメを作っているわけではないというのが実感できますし、それがアニメ制作に携わる醍醐味だと思います。作品がたくさん動いている会社なのでチャンスも多いです。後輩たちがどんどん成長して活躍してくれることを楽しみにしています。厳しいお話もしましたが、仕上げというお仕事に興味を持ってくださったら、ぜひCloverWorksを志望してください。お待ちしています。

©Project UniteUp!
©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
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