SPECIAL
STAFF INTERVIEW
黒木美幸
クリエイティブ事業部 演出・作画ルーム
チームのみんなで楽しく、自分も楽しんで、作っていきたい
衝撃を受けた作品と就職後の経歴
小さいころから絵を描くことが好きで、「将来も絵を描く仕事に就ければ楽しいかも」と漠然と思っていました。そんななか具体的にアニメの仕事に興味がわいたのは『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』を観たときです。それまで感じたことのなかったアニメ映画独自の感覚に触れ、子ども心に衝撃を受けました。初めてちゃんとスタッフロールを見たのもこの作品だったと思います。そのころから「絵コンテ」や「演出」という役職があるようだと意識しはじめました。
そうした体験を経てA-1 Picturesに動画マンとして入社後、動画検査、原画、作画監督を5年ほど続けました。それから、演出として活躍する場をいただき、分社を経て現在はCloverWorksに所属し、現在は監督業もさせていただいています。CloverWorksは、他のスタジオと比べても多種多様な作品を扱っており、自分が好きだと思える作品に関われる機会が多いように感じます。社内の環境も良く、清潔で静かなので作業がしやすい会社です。
作品の方向を決定づける役職になって
現在は監督として「こんなアニメを作りましょう!」と企画段階から作品に関わっていき、シナリオ、コンテ演出、設定、作画、仕上げ、撮影、美術、音響など各セクションと打ち合わせを重ね、チームでコツコツと作品を作り上げています。原作ものでもオリジナルでも、作品の方向性を決めるための舵を取る立場にあるので、緊張と楽しさと責任が伴う役職です。
そのために常に心がけているのは“作品に対して真摯であること”、そして“己が楽しむこと”です。また、周りの人たちに気持ち良く仕事をしてもらえるよう、環境作りにも気を配るようにしています。
仕事に対するやりがいと大変さ
仕事をしていくなかでやりがいを感じるのは、やはり視聴者のみなさんから反応をいただけたときです。作品が公開されるまでに、水面下でかなりバタバタともがきながら作っているので、多くの方に観ていただいた上で反応をいただけると純粋に嬉しいです。「チームの頑張りがきちんと届いているんだな」と放送後にこっそりと喜びを噛み締めています。また、作品の制作中や放送後にスタッフの方から「参加して楽しかった」と言っていただけたときも、アニメを作っていて良かったなと感じます。
一方、大変だと感じる部分は、たくさんの人が関わるために打ち合わせの時間が多く、個人の作業時間の確保が難しくなってしまうところです。そこは作画を担当していた時代とは違い大変だなと感じています。それに、各社から常に質の高い作品が次々と発表されるので、その作品群の中でいかに注目を集められる作品にするかも課題です。
同僚との会話とリフレッシュ法
コロナ禍では、じっくり人と対面して話す機会が減りましたが、同僚とは最近観た動画や映画、おいしいものの話で盛り上がります。あと、猫の話もよくします。アニメとは別の話で刺激を受けることも多いです。
リフレッシュ法としては、何も考えずにボーッとする時間を作ったり、料理をしたりしています。ゲームをしたり、猫をなでたりして気分転換することもあります。そうやって、きちんと仕事と切り替えられるようになったのは最近のことですね。この業界で長く走り続けるには休むことも絶対に必要ですが、ようやくそのことに気づいた感じです。作品作りを楽しくするためにも休息は大事なことだと思います。
作品への“好き”を自覚してほしい
この業界を目指そうという学生のみなさんには、映像作品を観るのはもちろんですが、行ってみたいところへは積極的に足を運び、いろんなことを体験しておいてほしいと思います。私自身、活字を読むことや物語にたくさん触れることを、時間と体力に余裕のある学生のうちにもっとやっておけば良かったとよく感じているので。
また、ピンとくる作品に出会ったときは、常に「自分はなぜこれが好きなのか?」という問いかけを自分にしてみてください。その“好き”がきちんと自覚できれば、あなたがアニメ作りに関わったときに表現したいことの大きな指針になると思います。自分の中の“好き”を磨いて、ぜひ素敵な作品を作ってください。