SPECIAL

STAFF INTERVIEW

薄井久代

クリエイティブグループ 美術ルーム 室長

チームワークを重視して円滑に制作を進める

CloverWorks設立から5年経った現在の美術ルーム

CloverWorks設立から5年経った現在の美術ルーム

美術ルームは新卒入社の人と、これまでも一緒に仕事をしてきたキャリアのある人で約20名、20代から40代のスタッフが働いています。普段はそれぞれ仕事に集中していて静かですが、しゃべると年齢関係なく和気あいあいとしています。穏やかに黙々と仕事をするタイプが多いです。美術ルームとしては、以前公開されたスタッフインタビューでも登場している幸喜さんや宮沢さんの代に新卒採用を開始したのですが、彼女たちを含め今は生え抜きのスタッフが9人に増えました。
皆、それぞれのキャリアに応じて着実に成長しています。

過去記事:観ている人の心を揺さぶるようなドラマチックな映像を作る
過去記事:入社3年目社員による美術ルーム対談

美術ルームの育成やキャリアアップについて

美術ルームの育成やキャリアアップについて

まず研修期間では、「アニメの背景美術」という仕事に関する基礎知識を教えていきます。模写を始めとした基本的な画力の部分はもちろんですが、アニメ制作に関わる仕事なので、必要な専門用語やアニメ背景の描き方、他セクションとの関わり方など、絵を描く以外の面も含めて一から教えていきます。研修のあと、最初は作業しやすいシーンをカットごとに担当し、成長に合わせてまとまったシーンを渡していきます。2年目ぐらいからは、各話数を補佐する仕事として原図をチェックしたり、他セクションとの打ち合わせに同席するなど美術ルーム以外との関わり方も経験して、業務の幅を広げていきます。3年目ぐらいからは、いわゆる美術監督補佐のような仕事にもチャレンジします。
CloverWorksでは「話数担当」と呼んでいて、テレビシリーズであればそれぞれの話数を美術監督のように担当する役割をお任せします。話数担当は、打ち合わせに出席し、スタッフに仕事を振り分け、各カットの上がりをチェックして納品するなど、話数を通して管理するポジションです。また、「美術ボード」という背景を描く基準となる絵を用意する作業も少しずつ担当していきます。美術ボードは作品の世界観や、監督や演出の意図を汲んで描くのですが、それまでは他の人が作ったボードに合わせて描く仕事をしてきたところから一段あがり、「絵を表現する」ようなイメージの業務です。美術ボードに自分の表現したいことを織り込むことで、ようやく自分の絵を描くことができるようになっていくんです。その先に「美術監督」という作品全体の背景美術の責任者というポジションがあります。

美術ルームのチームワークで話数担当制を円滑に進める

やはり美術監督が一人で作品全体の管理や全話数のチェックをするのは、スケジュールなどさまざまな面でとても負担が大きいです。美術監督がすべてを背負うのではない形として「話数担当」システムを考えました。とはいえクリエイティブな仕事なので、このシステムでクオリティを保つためにはチーム全体での実力が必要ですし、よりスタッフ間での情報共有や意志疎通が大切なので、そこを強化して組織として動いています。この5年で少しずつ作り上げてきていて、美術ルームのチームワークを実感していますし、より円滑に進められるようにアップデートしている最中ですね。スタッフたちには無理のない働き方でプライベートも充実して過ごしてもらいたいので一緒に工夫しています。

美術ルームの新卒採用で求めることは

美術ルームの新卒採用で求めることは

ポートフォリオでは基礎的な画力を最重視しています。スタッフの中には学生時代に日本画を学んでいた人もいて、必ずしもアニメの知識がある人ばかりではなく、アニメを勉強していないことは問題ないのですが、実際の業務はPhotoshopを使用するので、パソコンは最低限使用できる状態が良いです。Photoshopの実務的な使い方を教えることはできますが、絵を描く作業でパソコンに全く触れたことがない人は厳しいかもしれません。近年は、美術の作業でも3DCGを使用する場面が増えてきたので、3Dソフトの3ds MAXを使用できる方はぜひアピールしてほしいです。

美術を目指す学生に向けてメッセージ

私自身、仕事を始めたころはただ絵を描く作業が好きで没頭していました。コツコツと描くことが楽しかった日々から経験を重ね、作品に向き合い、見る人の生活を彩れるような世界観をつくりたいという思いが芽生えました。その作品が誰かに届いて、感動やワクワクを届けられた手ごたえを感じた時に、今まで以上の達成感や充実感がありました。昨今いろいろな映像コンテンツがありますが、作り手が真摯に向き合って生み出された作品は誰かの心に必ず届いています。自分の可能性を信じて、好きなことに一歩踏み出してみてください。

  • INTERVIEW LIST

INTERVIEW

  • 2024.3.1

    チームワークを重視して円滑に制作を進める

    2024.3.1

    チームワークを重視して円滑に制作を進める
  • 2024.3.1

    一丸となって作品制作に臨むチームを作る

    2024.3.1

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  • 2024.3.1

    環境が整って層が厚くなった仕上げルーム

    2024.3.1

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